リン酸処理とは金属の表面を保護する処理方法
リン酸処理(リン酸塩皮膜処理)とは、リン酸亜鉛・リン酸鉄などのリン酸塩溶液を用いて金属の表面にリン酸塩被膜を化学的に生成させて、金属を保護する処理方法です。これには金属の腐食を防ぎ傷がついても錆が広がらない効果があるので、錆びやすい金属に予めこの処理を施します。この処理方法の歴史は古く、19世紀にピラミッドを発掘した時、出土品からこの処理を施されたものが見つかり、古代エジプトから活用されていたことがうかがえます。これを足掛かりにイギリスで最初の特許が取得され、後にアメリカのパーカー兄弟が特許の使用権を取得して更に工業分野で発展していきました。現在では溶融亜鉛メッキ加工を施した後に、リン酸処理を行う事で塗料との密着性を高くし、溶融亜鉛メッキ特有のキラキラした光沢を落ち着いたグレー色にして自然な仕上がりになるので、多くの建築物構造物にも使用されています。
リン酸処理の効果を発揮させる為に消泡剤は必要不可欠
金属の腐食を抑制したり他にも優れた効果があるリン酸処理ですが、リン酸処理を行う上で大事なことがあります。それは必ず消泡剤も使用することです。消泡剤はその名の通り泡を消す効果があります。リン酸は金属に反応して泡を発生させる性質があり、リン酸処理だけ行うと表面が気泡でザラザラになり、見た目も悪い上にリン酸の緻密な結晶粒子の効果が半減し、金属同士の接合部分にも支障をきたします。そこで消泡剤を使うことで泡を消して表面を滑らかにしてくれるので、リン酸処理の効果をしっかり発揮させる為にも、必要不可欠なものなのです。
リン酸処理は金属の表面に酸性の液体をかけることで、きれいにすることはもちろん防錆効果をもたらせます。